司法とは何か?

http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY200505020240.html
 基本的に「裁判員制度」には反対です。私には、ロースクール導入とセットになったこの「司法改革」は「改革」ではないのではないかと思っています。確かに司法の現場が、一般の人々から遠かったのは事実でしょう、私を含めて多くの人間は気軽に裁判を起こそうなどと考えません。それを身近なものに変えていこうという意見には賛成します。その場合、判事・弁護士ともにも不足しているということもある程度理解できます。
 では改革すべき部分はどこなのか?司法資格保有者の増加は分かります。現在の人数では裁判の増加に対処できない事は事実といって差し支えないと思います。(主に判事の数が問題では無いかと思いますが。)では、それと同時にもっと裁判を身近なものにするために重要な改革は、本当に半強制的に裁判のプロセスに参加させるような「裁判員制度」が適当なのでしょうか。
 私は、逆にそれが「裁判」離れを起こさせるのではないかという危惧を抱いています。同時に、移行期間における、あるいは国民全員が裁判員として教育を受け終わらない期間の裁判の質の低下。あるいは、まずい判決が出る事に対する恐れがあります。強制的に判決のプロセスに組み込む事で、従来感情論として「死刑」に賛成していた人々がその問題点について自覚的になる可能性なども否定できませんが、一歩間違えば憎悪をぶつける機会としてエスカレートしてしまう可能性も同時にあると言えると思います。
 では、果たしてどのような改革が、真に国民に近い司法を実現するのか。私はやはり問題は明確ではない弁護士料の見直しや、気軽に訴えられる小額訴訟の拡大等が必要ではないかと思います。刑事事件での当番弁護士制度はありますが、民事訴訟では中々弁護士を依頼できないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。窓口事務や、法曹資格保持者以外にも理解できる提出書類の簡略化などもっと先にやるべき事があると思います。