合憲閣議決定?

靖国参拝が公的参拝であっても、外観上宗教的行為で無ければ(2礼2拍手)憲法違反でないと見解。
http://www.asahi.com/politics/update/1025/006.html

2005年10月25日18時43分
 政府は25日の閣議で、首相の靖国神社への公式参拝について「宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法第20条第3項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないと考える」とする答弁書を決定した。民主党野田佳彦国会対策委員長が提出した、小泉首相靖国神社参拝に関する質問主意書に答えた。
 政府は「(私的参拝は)憲法との関係で問題が生じることはない」としたうえで、公式参拝に言及。「神道儀式によることなく追悼行為としてふさわしい方式によって追悼の意を表する」場合は国の宗教的活動に当たらないとした。
 政府は同時に、社民党辻元清美衆院議員の質問主意書への答弁書でも、小泉首相の参拝問題に触れ、「一人の国民として参拝した」と説明。「参拝の適否について政府として立ち入るべきではない」とした。

 まず首相の行為であるという要素(警備員、公用車・・・)自体を「公的」か「私的」か分離できるかという問題があります。一般的に首相の家族が結婚したり、死去した場合に首相が行う行為は「私的」なものと見做されてしかるべきでしょう。ただし例えば、私的=プライベートの代表的な要素として挙げられる「経済行為」においてすら、公的要素と私的要素との境界線が難しくなります。(インサイダーの可能性や田中角栄錬金術が例に挙げることができると思います。)
 ましてや、靖国参拝は首相が自民党総裁選においての「公約」としたものであり、なおかつ、首相・議員の参拝行為そのものは特定の政治・宗教団体が政治的に要求しているもので、それに答えて行われるという要素も見出す事ができ非常に政治的な行動です。(政治的に要求された行為が常に、行われた時政治的行為になるという訳ではないでしょう。例えば、支持者が「貯金しろ」と政治家に言って、政治家が自分の給料を貯金したからといってそれは政治的行為と言えるかどうかは微妙です。政治的要素を包含してしまうという事はあるでしょうが。)
 そして首相が、政治的な行為として、参拝をなす=「公的」な行為と見做せる事は間違いありません。故に「公式参拝」は違憲ではないと「言わざるを得ない」というのは当然です。
そこに対する批判も当然ありますが、ここではそこではなく次の点に注目します。
 政治からの宗教への介入が「憲法20条」の要諦とするならば、行動が常に政治性を帯びるもの(=政治家、ましてや首相)が、宗教的場において政治的な行動を行うという事は宗教への政治の介入(宗教にとって「正」の意味を持つか「負」の意味を持つかはこの際関係ない。)であるという事実はそのまま憲法違反であるといえる。
 また、同時に今回の閣議見解は今年以前の小泉首相靖国参拝は「違憲」であると認めたものとも言える。憲法を守ることが求められる首相が、率先して憲法を破る…このことに対する断罪は存在するのであろうか。

 また、上記の判断「公」「私」の峻別は問題でなく、「神道儀式」か否かが問題になるという場合は、国会議員の参拝も問題になりうる訳だ。その辺は、どう考えているのだろうか?

ちなみに政府見解あるいは、閣議見解が憲法を規定するということは認められていません。「司法」権への干渉ですよね。

傍論だから効果が無いという方(http://d.hatena.ne.jp/tarataradiary/20051024さん)がいらっしゃいますが…日本における司法が「憲法判断」を避けてきた、未だに避けていることの裏には、憲法判断したら「違憲」だよというのがあるわけです。だから、傍論で言うしかない訳ですよ…それに対して、これで良いの?きちんと機能させなくてはいけないのではないの?という意味で傍論で「違憲」という事に対して是非があるという意見になる訳です…。