それでも

死刑には反対します。
新聞の論評はともかく、テレビのコメンテーターはひどすぎる。
今回の最高裁判所の差し戻しは事件当時の少年法その他から考えるに本来はおかしなものではないかと思う。
補足:今回の弁護側の事実認定を巡る争いに際しての主張の突飛さは認める。しかし、事実認定をあまり争わず、それ以外の点を争って来ていた高裁までの裁判を、法的論点以外で否定して差し戻した最高裁の判決の問題点を指摘せざるを得ない。保守化著しいといわれる高裁においてすらあの判決(無期懲役)であったのに、差し戻し*1。無理やりに、事実認定について争わせるような状況を作ったのは裁判所の側なのである。弁護団を責めるのは、あまりにもあんまりと言わざるを得ないのではないか・・・。
それにしても、もう少し・・・とは思わないところもないが・・・。
更に追記:いくつかのお隣日記を見ても、弁護団への感情的反応は見受けられるがそれ以上の議論は見受けられないのが・・・。犯罪加害者に対する刑罰と、被害者保護や補償は切り離して考えられなければならない*2し。加害者の人権と被害者の人権はトレードオフの関係ではない*3。今回の事件に死刑廃止論の弁護士が多く参加しているのに対しては、今までの判示であれば死刑にならないはずの人間が、昨今の厳罰化・死刑多発化の影響で死刑判決を受けそうな状況で、弁護する役割に自ら就こうとすることは論理的に妥当な行動だと思う。
論理的正当性で言えば、人権概念に基づく近代法の上では、人権を棚上げにする死刑は認められないのではないだろうか。もし、加害者に死をもって償わせるというシステムを残す、あるいは作りたいなら日本は近代法概念を放棄して、呉智英氏の唱えるような「仇討ち」システムを採用するしかないだろう。ただし、色々な制限が必要だろうが・・・。*4凄惨な世の中になるだろうな。世界中から白い目で見られるだろうし。

*1:実質、「死刑判決を下せ」という最高裁の命令だろう

*2:それが国家が罰するということの背景に必ずあるもの

*3:人権概念を否定しないかぎり

*4:武器などの限定、助っ人など介入者に対する限定とそれにともなう制裁の制度化、重敵の禁止など・・・それだと失敗・返り討ちもありうる・・・。