沸騰都市 ロンドン

NHKスペシャル
NHKのドキュメンタリーはやはり頑張っていると思う。
見ていて面白い、しかし扱っている内容は示唆的であり深刻だ。


 話の筋としては、さまざまな要因で世界の中枢としての機能を喪失しつつあったロンドンが、ケン・リビングストン元市長の下、外国からの人・金の流入によって再び伸張してきているという話である。
 一貫して出てくる外国人・外国マネーの代表は、エネルギー高騰の恩恵に浴すロシア人とロシアのオイルマネー。その代表として、セルゲイ・コルショフというロンドンで活動するロシア人が取り上げられる。


 本番組の最後はUKの国民的スポーツとも言うべきサッカーチームを軸に話が収束する。エリツィンのもとでオリガルヒの一翼を形成し、プーチン就任後イギリスへ亡命したアブラモビッチ有するチェルシーがロシアのパワーの代表として*1。国内経済の私物化により、クーデターが起こり国外に脱出したタイの元首相、タクシン*2が有するマンチェスター・シティがアジアの力の代表として。チェルシーファンの日雇い労働者としてイギリス人男性が、これ以上の外国人の流入は望まない旨の発言をする。


 最後にプレミアリーグにおける最後の牙城とも言うべきアーセナルにも、ロシアからの買収問題が持ち上がっていることが紹介される…。


 一方では、ケン・リヴィングストン*3の市長選敗北と保守党による外国人への税制優遇撤廃案の提出も進む。今後、ロンドンはどこへ向かうのか。常に霧の中にあることが、ロンドンの魅力なのかもしれないが…。

*1:こうした関係もあってか、コルショフ氏はロシア本土からアンチ・プーチンではないかと追求を受けている。本人は違うと否定し、大統領選挙においてはメドベージェフに投票したと公言しているが、非常に難しい問題であろう。

*2:その後、選挙で親タクシン派が勝利し、帰国。これだけ早い復権には当然裏があるように思う。不正蓄財の可能性への追及は必ずしもなされたとは言いがたいように思う。一部では、再度のクーデターもという話もあるようであるが。

*3:ケン・リヴィングストン - Wikipedia