なんというか語るに落ちるというか…

記事全体に対して脱力。
なぜ、こういった話を「世代論」に帰結させるのか皆目理解できない。
蟹工船」を読んでいる世代と「小林よしのり」ファンの世代がたとい同一世代だったとしても、それはそれぞれが同一であることは示していない。

自分の不勉強を放置して

そもそもこの世代は直接の左翼体験が、まずない。大半は浅間山荘事件(72年)の後に生まれ、自民党社会党の「55年体制」の記憶すら怪しい人もいる。マルクスなどの思想もほとんど知らない。

直接体験の有無に、知識の有無を結びつける…。
学芸部の記者に求めるのも無理なのかもしれないが。

大澤(信亮)*1さんによれば、戦後、労働や貧困を主題とした文学作品はほとんどなく、評論でも貧困は現実の「外の問題」としてしか扱われなかった。

戦後もプロレタリア文学者たちは活動を続けていますが…。

この対談を今年1月9日、毎日新聞朝刊文化面(東京本社版)に掲載したのがきっかけになり、ブームが始まった。

この凄まじい我田引水ぶりもすごい

苅部教授は「雨宮さんらの論者は、世代意識が強すぎたり、左翼的表現を嫌う人が多い上の世代の心情を知らない面があるように見える」と危うさも指摘する。

 そもそも「ロストジェネレーション」と自己定義*2をしている人々に対して「世代意識が強すぎる」との指摘が批判になっているとは思えない。「左翼的表現を嫌う人〜」との指摘も、だから何?という感じの批判である。彼らがあえて「世代論」のフィールドを利用していると考えた場合、敵は明らかに既得権益を有した「上の世代(主に団塊の世代か)」である。その彼らは、学生時代「左翼」*3運動に参加しながらも、その後生活保守主義に転向したある種の戦犯と位置づけられる。その、戦犯が「左翼的表現」が嫌いなどというのは、批判者からすれば噴飯ものでしかない。


 文中に登場する赤木智弘氏の唱えていた「戦争待望」にはまったく賛成できない。しかし、貧困や雇用に関しては、経済のパイの突然の増加による解決が見込めないのは現実である。ただし、そのような状況下でも解決策の一つはすぐに提示できる。既得権益*4、一定以上の所得を得るものの収入を削り、その分で新規雇用を創出すればいい。ワークシェアの対象を高額所得者に絞ればよいのだ。日本では労働訓練の効果が制度上働きにくい*5以上、そちら(労働訓練=traning)に公的負担を向けるよりもよほど社会福祉の充実に寄与するものと思う。


BBCの指摘に関しては

を意識している。個別にこの事件に関しては、不明な点が多いので置いておくとして。

*1:カッコ内は引用者注

*2:私は、この定義自体には非常に懐疑的である。しかし、運動の凝集性を高めるために戦略的に世代論を主張することまでは否定しない。

*3:あえて括弧つきで表記する。

*4:この記事を書いた鈴木英生氏も含まれるのではないかと思われる。

*5:最近崩れつつあるとはいえ、安定雇用のかなり多くの部分は新卒採用によって閉められるなどの諸条件から。