日高義樹のワシントン・リポート

報告義務が生じたのでチェック
マケイン候補熱烈支持者の日高氏、今回はどのようなレポートをしてくれるのか。
 冒頭でいきなり、ブッシュ政権下での「大減税」政策が続くか「増税」になるかという、共和党文脈での二者択一を迫るという飛ばしっぷり。

  • ジョシュア・ボールテン大統領主席補佐官(とロバート・ノバック)に聞く最大の大統領選の争点
  • マケインはブッシュ政策を引き継げるか
  • オバマが大統領候補になればアメリカは大恐慌になる?
  • ブッシュはイラクを爆撃するか
  • 民主党ばかりに注目集まっているが…次の大統領は誰か

この全体の番組運びの紹介に…。ちなみに上三つの主題は、ブッシュ政権内部の人物に聞くという形式。後半、二つが、アメリカのジャーナリストに聞くという形式。

セキュリティ(イラクと本土防衛)と経済(景気低迷とガソリン価格)がテーマ
ボールテン「専門家によればイランは世界平和の脅威になっているが〜」…
共和党(自己規定):安全保障に力を入れ、経済への政府の関与を少なくして、税金を安くする
日高「もう一つの安全保障問題は中国です」…
→ボールテン「ブッシュ(と胡錦濤)は建設的」圧力(人権など)と対話(二国間対話の進展)
民主党候補がが煽動的なことを言うかも知れない
民主党候補の中国に対する見方として、共和党側の想定が日本のネットウヨと反対で笑える。人権面などで(民主党からの)中国への風当たりが強くなることは想定上は十分ありえる話ではある。

ノバック「ブッシュとマケインの相性(2000年の選挙では激しくやりあった?)」
→ボールテン「関係は良好」(2004年にブッシュ再選選挙で協力?)
2章中身ないな…
G8では特に新しいこと言わない(過去のG8での議論(特にアフリカ問題)が進展したかどうかチェック)(それは任期ないのだから仕方がないが)
ボールテン「9.11以降アメリカに攻撃がなかったのは幸運とブッシュの対策のおかげ」
「それを忘れてアメリカ人が自己満足に陥っていないか心配」

日高「オバマが大統領になれば「大きな政府政策」と労働者保護で「弱いドル政策」になる。」…
ボールテン「すでに不況という報道もあるが、今は不況ではない」「増税があれば景気が悪くなる。」「オバマ増税すると言っている」「一方、マケインは減税を維持すると言っている」
日高「オバマ民主党は輸入規制をいう労働組合の支持」「保護主義が復活するのでは」
ボールテン「保護主義孤立主義が戻ってくるのを危惧」…
ノバック「アメリカが日本(ヨーロッパ)に比して成功している理由は?」
ボールテン「アメリカは経済の自由維持(規制緩和、減税)」「日欧も最近はそうなってきてる」
日高「(ノバックはマケインが勝つといってるけど)勝算は」
ボールテン「ノバック先生には頭が上がりません」
章末の日高総括「オバマは日本叩きと輸入制限を行う懸念がある」(エエ〜ナンダッテ〜)

イラン攻撃の必要性認識(本当に戦争好きだな…)
日高「イランと中国は重要な点。イランは爆撃すべきか?」
ノバック「攻撃すべきでない。イラクとアフガンで手一杯。制裁は必要(なぜか南アフリカの例え)」
アル・ハント(ブルームバーグ)「核兵器を全部攻撃は不可能。占領も不可能。制裁か、穏健派の可能性」(つぶしたのはアメリカだがな…)
ケイト・オバーン(ナショナル・レビュー)「爆撃は無理。でも核保有も絶対許されるべきではない。」
日高「イランは本当に核兵器保有を目指しているか?」
ノバック「持ちたいと思っていてもおかしくない」「イラン内部の政治はわからない」(…こいつら…)
アル・ハント「さすがに退任直前では爆撃しないだろう(数ヶ月前に比べると可能性を増した?)」「持とうと思っているのは間違いない」
ケイト・オバーン「テロ支援国家であることは間違いない」
日高「中国が中東に手を突っ込んで、西側の中東への影響力をそごうとしている(昔のソ連みたいに)」
アル・ハント「民主候補も中国を締め上げようと言う前に結果を考えたほうがよい」(ここでも民主とは中国に対して厳しい姿勢というアメリカ内部のの見方が見える)
オバーン「中国は来た朝鮮問題でも非協力的。いざとなればオリンピックで圧力(開会式出席拒否はその後の交渉の口を失う)」
章末の日高総括「イランの各施設がどこにあるかわからないので、全土爆撃をしなくてはいけなくなる」「イランはペルシャ王国の復活を望んでいる」(あれ…?前者は「だから不可能」という話だったし、後者は「一部にはいる」という話でしかなかったはずなんだが…)

日高「マケイン:外交では民主党保守派に近い。ベトナム戦の国民的英雄。オバマ:上院きっての進歩派、もっとも左。外交の経験がなく、即時撤退を主張。」(すごい予断を抱かせるつなげ方だな)
ノバック「議会では民主優勢」「大統領選は接戦」「独自調査で今日やれば2差でマケインと出た」
ノバーン「2期後の同党内での引き継ぎは難しい」「選挙資金で民主候補が圧倒」「集会の参加なども熱心」「しかし、民主対共和ではなく、オバマ対マケイン」「経験面でオバマに見劣り」
ハント「オバマだろう」「マケインだけが唯一接戦に持ち込めるが」「経済(政策)面ではオバマ有利」
日高「オバマへの投票者は?」
ノバック「金持ちの黒人差別への贖罪、高学歴者、ブッシュ批判者」「白人、中流以下やヒスパニックは…」
ノバーン「イラク戦争反対者から多くの票(当初からの反対)」「共和はオバマに超リベラルのレッテルを貼りたい(経済面での積極支出を批判)」
ハント「白人、教育程度の低い人、中流以下からの集票が課題」「ニクソンの娘もオバマ献金
日高「今日選挙行ったら」
ノバック、ケイトはマケイン、ハントはオバマ
章末の日高の総括「マケインがわずかな差で勝つ」「マケインが経験豊か」(…)

全体総括
アメリカ大統領選の課題が内向きになっている
日本は、アメリカの政治家が国際問題に関心をなくしたとき、自発的に判断する準備

各所の発言後の()は私の感想。「・・・」が多いですが察してください。

  • 昔から感じていることではあるが、実際の内容と日高義樹氏の章末総括が微妙に違っている。
  • 日高氏は、結構、どの議論も牽強付会に持っていく。
  • 日高氏は、登場するアメリカ人よりも基本的に強硬策主張をしている印象。
  • 誰も自発的に中国問題を言わないのに、日高氏はアメリカの重要な外交課題に中国を挙げる。*1

 感想のまとめが「ワシントン・リポート」っぽくなってしまっている…。恐るべし、ワシントン・リポート脳。

*1:実際、重要なのは間違いないが、少なくとも今回の大統領選では争点にはならないだろう。