オバマ勝利、期待と過剰な期待に対する戒め

先日のアメリカ大統領選、民主党オバマ候補が当選しました。
基本的には、他国のトップが決まったというだけで、日本人が直接的に何か関わったわけでは全くないのですが。さすがにアメリカの大統領ともなると、直接間接的影響力の波及は避けえません。


オバマ氏の政策課題としては

と内外に大問題をいくつも抱えており、先は非常に険しいといわなければならないでしょう。


日本に関連する話であれば

なども無関係ではありませんが、正直それどころではなくなったという状況ではないかと思われます。


オバマ氏に対する期待は高いです。ただ、上記政策について目に見えた結果を短期間に出すのは非常に難しいといわざるを得ません。唯一、短期間で目に見えた結果が出るものといえば、イラクからの米軍削減(最終的には撤退)です。これについては行ったとしても、プラスの評価がつくという類のものではありません。
その他の政策に至っては、見通しを立てるのも難しい問題です。その中で、初期の過剰な期待が、過剰な失望に変わる可能性もあります。そうなると、手腕でなく人気で大統領についた以上、オバマ氏はつらい状況に追い込まれることになりかねません。


個人的には4000万人ともいわれるアメリカの貧困層の生活安定と、底上げによる内需の拡大がもっとも適当と思われますが、共和党支持層はそれに対して強く批判をしてくるでしょう。しかし、医療保障の充実(皆保険制も含めた)や住宅の整備(公的整備も)など、サブプライムで起きたバブルの被害を、金融機関に資金をつぎ込む以外である程度とる必要に対する支持は比較的得やすい状況にあるといえるのではないかと思います。マクロのレベルでの金融緩和などに意味がないとは全く思いませんが、「市場」と「国民の経済意識」のどちらの沈静化を優先するかという問題ではないか。そして、アメリカでは後者を優先すべきではないかという気がします。


あとは、中東問題をなんとか進めてほしいとは思います。ガザ西岸地区などでの現在のパレスチナ側のおかれている状況は現在非常に危機的です。アラファト亡き後、民主的手段で、パレスチナ政府の中枢についたのがハマスであることを理由に、イスラエル側がかなり無理矢理ことを進めているのが現状のようです。アメリカはあくまで仲介者としての役割しか果たせませんが、アメリカのイスラエルに対する態度とアメリカ国内のユダヤ人の良識が、唯一交渉における望みといわざるを得ない状況になってしまっていると思います・・・。