私は死刑廃止論者です。それを肯定し基礎付ける強い理論を持っているわけではありませんが…。で、今回のこの件はさまざまな角度からの見方があります。
今月号(10月号)の「世界」(http://www.iwanami.co.jp/sekai/)における「アムネスティ通信 死刑執行の危機――危うい制度の上のもう一つの殺人」においての記述で法務省が死刑執行の書類にサインしなかった大臣を出させないために現法務大臣野沢太三氏に駆け込みで死刑執行サインをさせるのではないかという記事が載っていたということです。この側面にはもう何もいうことがないとしか書けません。
通常、死刑執行まではある程度の間隔が置かれます。*1今回の死刑執行にはもしかしたら適任者がいなかった為に残虐な事件を起こし、まだショック覚めやらない事件の加害者を持ってきて*2批判を避けようという意図があったかすらに感じます。
この件に関して特に宅間死刑囚の心の動きに関しては私以上に的確に論じていらっしゃると思わしき方々。(http://d.hatena.ne.jp/pavlusha/20040914#p2http://d.hatena.ne.jp/tigress-kyoto/20040914#p1)が多くいるのでここでは記しません。それ以上に私にはわからないというしかありません
死刑に関しては冤罪の問題をどのように回避するのかや、今回のように最初から死ぬつもりだった早く死刑にしてくれというような犯罪者に対しては意味がないなどさまざまな問題があると思いますが。当然、死刑廃止にはアメリカにおいて導入されているような懲役の長期化(100年とか)終身刑の導入も考慮に入れる必要がありますし。逆にそれによって生じる大量の服役囚をどう扱うかという問題も生じますが。

応報刑罰論でしか刑罰を論じられない人がなんと多いことかと…。

*1:もちろん明らかになっているわけではありませんが、何らかの基準があり時間が規定されているのかもしれません。

*2:彼らがよく批判する「人権派」や「死刑廃止論者」からの