上記のエントリを書く前に書いていたもの

人権擁護法案に関して

 反対運動のホームページhttp://blog.newsch.net/home/zk1/ちょんまげ党
当代江北日記さん(http://d.hatena.ne.jp/Jonah_2/)で紹介されていたんだけれども。
 本来これには、どちらかというとリベラルな立ち場の人間が反対しなくてはいけないと思っていたので。今回の動き方に少し狐にでもつままれたような印象を受けたのです。

 なぜならば、今回この法案への反対の方が所謂「左右」*1の軸で位置づけると「右」に位置付けられる方々ばかりのような気がしたからです。その違和感はここを見ると、よりはっきりしたものになってきました。

それは上記紹介ページの前のページにおける活動形態が、旧左翼(今もか?)と同じような「テンプレート」送信であったり。「電突」(電話突撃の略と思われる)の質問内容が
http://home.newsch.net/zk1/archives/blog39.html

民主党には、当選後、真っ先に民潭に挨拶に行った議員がいるようだが? もし、彼が人権委員会のメンバーに選ばれたならどうなる? 私はこのような行動をとる議員を信用することができないのだが?」
「この法律は弱者を救うことが目的であることは分かるが、この法律を悪用しビジネスとする団体が必ず現れる。これについて自民党の考えを聞きたい。」
「マスコミに対する規制が無いようだが、いま一番怪しい動きをしているのはマスコミではないか?」
「先日、朝日新聞が安倍議員、中川議員を陥れる報道を行った。安倍議員や中川議員は反論できる立場にいたからいいが、あのような事を我々一般人がやられたら手の打ちようがない。」
「また、NHKの中枢に左翼団体が入り込んでいると思われる。この状況で人権保護法案を成立させても、自民党の望む結果にはならないのではないか?」「私は、朝日新聞がこの法案に賛成していることに非常に危機感を感じている。」
「例えば、参政権を求める在日朝鮮人に「参政権を求めるなら帰化しなさい」という書き込みをしたとする。そして、在日朝鮮人が「帰化しろという事は差別だ」と騒いだとする。この場合「参政権を求めるなら帰化しなさい」と書いた人は、人権委員会から呼び出しを受けるのか? 」
「確かにネットには人権を侵害する書き込みもあるかもしれない。それは認める。しかし、日本のマスコミは言論の自由を楯に、好き勝手に歪曲した報道を垂れ流している。ネットでの発言が規制されたら、我々は偏向報道にどう対抗すればいい? まずマスコミに対して規制を設けるべきではないか? 」
「差別を受けている人を救いたいという気持ちは理解できる。しかし、差別とは何か、明確な定義付けをして欲しい。そうでないと、今のままの法案では絶対に悪用する団体がでてくる。」

 これを読むと分かることは、この質問が「特定の政党」になされたことを差し引いても、その言論に特定かつ具体的な対象者を置いた「憎悪の言葉」があるということである。
この上記の「電突」の内容はホームページに直接帰属するというよりも。この質問者個人のものであるということは注意する必要がある。
 しかし、この法案自体に違和感を感じることは私自身も分かる。彼らが「左」とか「人権派」と呼び批判している人種が、普段ある「抑圧的」になりうる法案に対して反対の姿勢を示すことの意義をこれで少しでもわかって欲しいという思いもあるが。
 それ以上に、彼らの反対の言論の根拠が、真に「言論の自由」の為ではなく「ヘイトスピーチ」をしたいが為であるならば、こんなに虚しいものはない。

こちらが紹介されていたJonah_2氏の日記では

それと、フランス語の抗議文も書いているけど、フランスには人種差別禁止法がある。
コンゴやカナダのケベック向けなのかもしれないけど。

と書かれていた。これに関しては、
 フランス国内では多分、共和主義の伝統からの人種などに基かない国民国家としての凝集性維持の為の「人種差別」であると思う。(スカーフ問題と同じ)そういう意味で、日本以上に「自国民」以外には向かない恐れがあるので注意が必要かもしれない。(近年のEU拡大や隣国ドイツの過去もあるので、共和主義の美徳の範囲は拡大しているのではないかと期待しているが・・・)
 これは、運動は一致するけれども理念は一致しないという最もやっていて悲しい抗議だ。
私は言論の抑圧を憎むのと同じレベルで「ヘイトスピーチ」や差別を憎んでいる。

 ここで一つ紹介。アメリカのコミュニタリアン、アミタイ・エツィオーニ(Amitai Etzioni)(Amitai Etzioni)は、ヘイトスピーチを許さない環境、出来ない雰囲気を作ることを「法的」にではなく作ることを推奨している。その中には、黒人運動の代表者、ジェシー・ジャクソンのユダヤ人に対する差別発言が、現在行えばどのような社会的批判を浴びるかを考えれば分かるというような言い方をしている。ネットなどの比較的自由な言論の場では、見たくない人や意識していない人が見れないような環境づくり(18禁サイトの入場時に年齢確認を求めるようなものか?)の必要性を論じている。

関連TB
2005-03-09 - ▼CLick for Anti War 最新メモ
http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000098.html
http://www.doblog.com/weblog/myblog/29972?YEAR2005&MONTH3&DAY16
2005-03-20

*1:定義はここではおく