エルンスト・バルラハ展の感想

「ちょっとあとで」のつもりが一日経ってしまいました・・・。
まず、なんの知識も無い第一印象
・木彫りが高村光雲の「老猿」を想起させられました
→後で、日本文化の影響を受けたという説明を見て、一部の彫刻の服のフォルム(流れ方やしわのより方)に仏像的なものを感じましたし、デッサンにあった「本を読む男」だったと思いますが、その格好は明らかに大仏や達磨などを見て取ることが出来ました。

で、実際に見ていて驚いたのはかなり初期からデッサンに現れているキャラクターのコミカルさです。デッサンに書く背景人物は、もしかしたら皆手を抜いてああいった感じで書くのかもしれませんが・・・。

初期のデッサンとロシア時代の彫刻で驚いたのが、オルメカの巨顔石像の形状に似ていたこと。オルメカの石像(こんな感じ(uhauha-uha.com))は謎だらけのようで、メキシコにあるのに顔の特徴はネグロイドだといわれていますが。もしかしたら、頭に被っている帽子がその印象を強くしたかもしれません。

戯曲などに対するトーマス・マンの好評など多才の人といイメージです。今まで全く知らなかっただけに・・・「はてな」のキーワードの紹介にもありますが、知名度が日本では低いようです。第一次世界大戦初期の好戦的風潮から、同戦争末期の厭戦。晩年の追悼施設のモニュメント製作とナチスによる頽廃芸術指定とその撤去。晩年とナチスの台頭期が重なり、最後はあまり恵まれた状態で死を迎えられたようではありませんでしたが・・・。

個人的に良いと思った作品は「漂う人」と「戦う天使」
「漂う人」に限らず後期にはいるまでの少し不安定な彫像のある種の極致がこの作品ではないかと思います。
後者は、大モニュメントや「巡礼者」と同じように直立した剣をもつ天使。獅子の上に両足で立っています。