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憲法 40年前の護憲映画をDVD化…京都の男性
5月3日10時19分配信 毎日新聞

 平和憲法を守ろうと、京都の文化人らが42年前に製作し、長らく埋もれていた記録映画「日本の憲法」が、製作メンバーの堀昭三さん(79)=京都市上京区=によって、3日の憲法記念日に合わせてDVD化された。堀さんは「憲法改悪を阻止しようという当時の熱気を映像を通して感じ、平和憲法の意義を若い世代に改めて考えてほしい」と話している。
 この映画は、朝鮮半島有事を想定した旧防衛庁の図上研究「三矢研究」が明るみになるなど改憲の動きが活発化した60年代、改憲を阻止しようと京都の学者や弁護士らが製作を計画した。旧労働省職員で、労働運動に携わっていた堀さんが事務局長を務めて、1965年に完成した。
 約30分間のフィルムには、末川博・立命館総長や大西良慶清水寺貫主蜷川虎三京都府知事(いずれも当時)ら12人が登場。戦争の教訓として憲法が生まれたことや、戦前の国家主義に戻ることへの危機感を、地域や職場で学生や市民に訴える様子が、ベトナム戦争の映像などと併せて収められている。
 製作当初、映画は京都などで上映されたが資金に行き詰まり、堀さんが赤字分を負担。上映は途絶えた。その後、立命館大国際平和ミュージアムにフィルムを寄贈したが、改憲を公約にした安倍政権の誕生を受け、一般の人に広く見てもらおうと、DVD化を決めた。
 戦争末期、志願して海兵団に入隊。戦後に入った立命館大の講義で聴いた末川元総長の「立派な市民になれ」という言葉に、「平和憲法の下、2度と悲惨な戦争を起こしてはいけない。戦争をしない国にするのは自分たちだと実感した」と語る堀さん。「国民投票法案の衆院通過で改憲が具体化する今こそ、映画を見て憲法を守る力になってほしい」と話している。
 1050円で販売。問い合わせは、かもがわ出版(075・432・2868)。【高田房二郎】