犯罪統計

週刊現代」3.29号p139
「リレー連載/第70回 新聞の通信簿」青木理氏による記事
 2007年度の犯罪統計において戦後最低の殺人件数であることが報道されたことを、大手新聞が黙殺していることを指摘した非常に良い記事になっている。


 最近思うのだが、皆危険な社会を求めているのではないか?「安全・安心のまちづくり」の名で行われる政策は、相互信頼の醸成や様々な人々の出会いの場の提供でなく、有志による監視と警察への報告体制の整備である。当然、あらゆる「怪しいもの」がその監視と報告の対象になるわけだから、普段見かけない人が出歩いているだけでも「不審者」として報告される。結果「不審者」の認知件数は増加する。
 でも、もしかするとそれで良いと多くの人は考えているのかもしれない。自分たちではない誰かが怪しい、自分たちではない誰かの所為で問題が起こったに違いない。その時、その「自分たち」という枠組みは、限りなく閉鎖的に、縮小していく。なぜなら、付き合いを広げようとしない、他者と理解しあおうとしないから。
 居心地が悪いし、気持ち悪い…想像してみて欲しい、寅さんがどこに行ってもつかまる社会になった日本を。

 この手の話をするときには、監視社会がどうだ、パナプティコンがどうだという話の展開になるし、実際そうしようとも思ったのだが、今回は回避…。