評価が難しい法務省の動き

クルド人一家に特別在留許可認める方針 東京高裁の呼びかけ受け
2008.3.25 10:41
 難民認定申請が認められずに退去強制処分となったトルコ国籍のクルド人男性ら一家3人について、法務省は、25日午後にも在留特別許可を出す方針を決めた。鳩山邦夫法相が同日の閣議後会見で明らかにした。理由については「人道的な配慮から在留特別許可を出すことにした。それが最善の方法だ」と述べた。一家は退去強制処分の取り消しを求めて東京高裁で訴訟中で、高裁が解決に向けて国と家族双方が話し合うよう異例の呼びかけをしていた。
 在留特別許可が与えられる見込みとなったのは、埼玉県在住のトルコ国籍のクルド人男性、タスクンさん(32)、フィリピン国籍の妻、ベルトランさん(41)、日本で生まれた長女、ジランちゃん(7)の3人。
 タスクンさんがトルコに戻ると迫害を受ける恐れのあるクルド人であるとして、一家は難民認定を申請したが認められず、一家は平成16年に退去強制処分を受けた。
 その後、一家は処分取り消しを求めて東京地裁に提訴。地裁では棄却されたが、昨年11月の控訴審で東京高裁の寺田逸郎裁判長が「話し合ってはどうか」と提案し、国側と一家の代理人による協議が行われていた。

韓国籍の一家に在留許可/川崎
社会 2008/03/26
 川崎市川崎区桜本に住む韓国籍の姜(カン)賛圭(チャンギュ)さん(44)と家族の計四人が、国に在留特別許可の不許可処分を取り消すよう求めた訴訟をめぐり、法務省は二十六日までに、四人に一年更新の定住資格を与えた。学齢期に当たる子供二人への影響などに配慮した人道的措置とみられる。
 姜さんは妻の李(イ)金和(クンハ)さん(40)と中学三年の長男(15)、小学六年の長女(12)の四人家族。一家は昨年三月、入管難民法違反に問われて在留の不許可処分を受け、姜さんは同年十月に仮放免されるまでの約七カ月間収容されていた。
 一家は二カ月後に処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴。支援者らが約一万二千人余の署名や学校関係者の自筆嘆願書を集めるなどしていた。
 横浜市中区で二十六日に開かれた「神奈川人権センター」の定期総会に出席した姜さんは、一連の経緯を説明し「同じ立場の人たちが安心して暮らせるようになってほしい」と謝意を示した。代理人の三木恵美子弁護士は「途中から来日した子供の学び続ける権利を保障した点で、意義のある判断が下された」と話していた。
 姜さんは一九九〇年に夫婦で来日。一度韓国に帰国して起業したが倒産。九七年に再来日し、その二年後に学齢期に達した子供二人を呼び寄せたという。

外国人登録在留カードで一元管理へ 法務省
2008年03月26日22時07分
 中長期に日本に滞在する外国人の在留管理を強化するために、法務省が検討してきた「在留カード」での一元管理の仕組みが決まった。鳩山法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」(座長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)は26日、鳩山法相に「新たな在留管理制度に関する提言」を提出。政府は来年の通常国会入管法改正案とともに、外国人登録法に代わる新たな関連法案を提出する予定だ。
 現行の外国人登録法では、外国人は来日から90日以内に、居住する市区町村に氏名、国籍、居住地などを届け出て、外国人登録証明書の交付を受けることになっている。一方、外国人の在留資格や在留期間については法務省が管理している。このため、自治体と入国管理局とで情報管理が二重になり、途中で引っ越したり、在留資格が変わったりしても互いに把握できないなど、不備が指摘されてきた。不法滞在者でも登録証は交付されるため、企業が間違って雇用するトラブルも少なくない。
 新制度では、入国時に顔写真と氏名などとともに、在留資格、在留期間を記録した「在留カード」を空港などで交付。外国人はカードの携帯を義務づけられ、途中で情報に変更があれば入国管理局に届け出が求められる。カード有効期限と在留期間を一致させることで、カードの有無で不法滞在を一目で見分けられることになる。在日韓国・朝鮮人などの特別永住者は、在留カードの対象にはならない。

 上の2例は評価できる事例であると思うが、この時期に矢継ぎ早に「入国管理」に関して柔軟な姿勢を見せるのは、三番目に紹介した制度的な「入国管理」強化に対しての批判を和らげるためではないかという気もしてしまう。


 アントニオ・ネグリ氏の入国問題でもそうだが、あまりにも法務省の裁量による決定領域が大きすぎる。法務大臣による裁量もある程度は大きいわけだが…。


 評価できるとした、一番上の例にしても1年後との更新を必要とする特別在留許可であって、難民申請に関しては認めていない。難民申請の認可に関しては、頑迷な裁判所の判断も問題があるところではある。しかし、特別在留許可を認めることで、法務省の強い影響下においておきたいという意図を感じずにはいられない。