時期と意図を見る必要

この麻生首相「豪遊」か否か?というニュース


 一部の人にしてみればなにこんなつまらないニュースを連日やっているんだと言う話になるだろう。実際このニュース自体のニュース性そのものが低いということには私も同意する。


 しかし、なぜ基本全マスコミがこのニュースを連日報道するかという点には注目すべきところがある。単純に結論を言ってしまえば「解散時期」の確定を促しているのである。
 国会で日銀副総裁人事を初め、デッドロックにあるとされてきた各法案が、民主党の同意の下次々と成立している。これは民主党が、首相に対して解散しなければどうなるか考えろと脅しをかけているわけだ。当然、選挙前に議会停滞の理由は民主党が強硬に反対してことにあると世論形成されるのを恐れたと言う面もあるだろうが。
 マスコミも、既に選挙シフトとでも言うべき報道体制*1をしいている。テレビにいたっては、年末の番組構成まである程度組んである*2


 今は言わば、100メートル競争前のスタートピストルが掲げられた状況で既に1時間が経過したような状況である。スタートピストルを掲げる麻生太郎首相は、負けが予測されているので当然だが選挙に踏み切れない。でも、ランナーである、与党も野党もマスコミも待ちきれないと言う状況だったのだ。国会での各法案通過が野党からのせっつきであるとするならば、今回のこの報道はマスコミからのせっつきであると言うことが出来る。ただし、野党は早期解散を促すわけだが、マスコミは時期の確定さえなされればよい。今回の一連の記事は、むしろ野党の意図と反して、解散を遅らせる効果の方が強いのではないかと思う。


 一部与党には、事務所契約の解除などを行うところも出てきたようであるから、年明け以降*3総選挙という可能性はなくはない。ただ、その場合は公明党創価学会の体力が持つのかという問題がある。公明党創価学会の体力は、そのまま自民党の選挙での勢い(あるいは実動力)と直結する。現在はまだ、麻生首相は、総選挙時期「今年か来年か」という選択肢を有している。しかし、今年を逃してしまうといやがうえにも来年の選挙スケジュールが確定してしまう。かみぽこちゃ氏の麻生評に「権力なき宰相」というものがあるが。

「解散権」という「伝家の宝刀」がその効果をなくしてしまい、権力の弱さに拍車をかけてしまうことも予想される。


 ただ、民主党にも不安材料はある。小沢一郎氏の体調問題と自滅(あるいは自爆)の発生の問題である。マルチ商法の問題については、党首の強いリーダーシップの発揮という形で、それほどダメージが広がる前に一応の決着をつけた。しかもこの件については、与党でも野田聖子議員しかも消費者相の地位にある人間が同じようなことでクローズアップされたという面も民主党の被害を最小限に抑えたと言うことが出来るだろう。
 しかし、まだなにかあるかもしれない…とは、当然自民党スタッフも思うわけで、色々調査中というところではないだろうか。(その点から言うと「新潮」あたりは自民党スタッフとかなり近い関係にあるのではないかと思うのだが…)


 日本の現状の小選挙区制度は、直前の風次第という側面があまりに強すぎる。小選挙区で二大政党制を採用しているとされる、UKもアメリカも「安定選挙区」と「スウィング・ステート」などがある程度分化し風にもある程度の制限が働く。それだけでなくUKは、スコットランドアイルランド毎の議会では地方政党が与党を握ることもあり、国政レベルでも議席が少ない自由民主党が3割近い得票を得ることもあるなどの指摘もあるのだが…。

*1:私はあまり中身がないと評価するが

*2:当然、差し替え可能性も踏まえているだろうが

*3:そうなると概ねの予測は3月から4月というものだと思うが