なんかおかしな論考のように感じる

ちょっと古いものになりますが…

専修大学藤本一美氏の「世界の一院制議会」の論考がかなりおかしく感じるのだが…
http://www.senshu-u.ac.jp/School/horitu/publication/hogakuronshu/107/fujimoto.pdf
自身の論文中で上げている一院制採用国と二院制採用国の推移の図
(田中嘉彦氏論文から引用)でも傾向としては二院政が増加傾向にある中で
「この40年間,すなわち,1967年から2007年の間の傾向を比較・検討するならば,世界の国家群の中で,一院制議会を設けていた国家は二院制議会を設けていた国家よりもはるかに多いことがわかる。」

と述べたうえで

「ただ,L・マスコット論文の分析でも指摘されているように,また図表 からも明らかなように,一時的に一院制議会の後退があったことは確かである(後述するように,この傾向は地域別の研究でも同様に見られる)」
と留保を置きながらも
「しかしながら,全体的な歴史潮流に焦点をあてるならば,一院制議会が増大する傾向は否定できない事実であるように思われる。」
という結論を下している…
これ、どういうデータを読んだらそういう風に取れるのかが分からない…
40年間のタイムスパンで見た場合「多かった」のは自身の論文でも、田中嘉彦氏の論文でも触れられるが「社会主義国の多くで一院制」だったことと、あまり触れられていないが新規独立を果たしたアフリカ諸国が多く一院制を採用したから50年前に比べて40年前に大幅増加したと言えるかもしれないが…

冷戦終結以降の傾向や北欧諸国の一院制化の流れがもっと大きなうねりとして指摘されるならばともかく、ここ10年ではむしろ二院政の国の方が微増している状況なわけで
一院制議会が増大する傾向は否定できない事実であるように思われる。」
というのはちょっとひどい考察ではないだろうか。

田中嘉彦氏論文「二院制を巡る論点」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0429.pdf