公明党

創価学会に関する社会学的アプローチという観点で
創価学会の研究』玉野和志(講談社現代新書)2008
という新刊本が出ていて、先行研究の整理を見る上で非常に便利だったわけですが…


公明党に関する研究というのは少ないんですよね…
創価学会研究の周縁としての公明党研究が中心になるのは仕方のないことではあるのですが…。
島田裕巳氏の『公明党VS創価学会』(朝日新書)2007や少し古いものであれば堀幸雄氏の『公明党 その行動と体質』(南窓社)1973*1などありますが、それらも基本的には創価学会の政治部としての公明党の研究であり。島田氏の著作では、、両者間の距離の拡大に焦点がありますが、それとても公明党を必ずしも別個の組織と捉えない前提ゆえに、距離の拡大が問題になるわけです。


まあ、別個のものとして捉えなくてはならないという主張では決してなくて…。とりあえず、政党としての公明党をあえて、創価学会を中心にすえての視点でなく見てみることは出来ないだろうかという関心があります。しかも社会学的にではなくて、政治学的に…。


冒頭の玉野氏の著作では、問題関心の違いからか結構あっさりとした紹介になっていましたが。村上重良氏の著作などで触れられている「日蓮系」諸新宗教の一つの表れとしての創価学会が持つ思想の拭いがたい保守性などは思想的には関心がありますが…。


批判・肯定両派の著作が多すぎて混乱する…
平野貞夫氏や元党員の山崎正友氏、乙骨正夫氏などは批判的著作の書き手としては有名です。古くは出版妨害事件の当事者となった藤原弘達氏なども含まれます。(批判側に共産党系を入れるのを失念していました)
肯定系は、創価学会関連出版社から刊行されている本全般。政教新聞社や潮出版社第三文明社鳳書院のものなどがこれにあたるでしょう。


藤原弘達氏は政治学者ではありますが、あの著作が政治学の著作かといわれると…
ただ富田信男氏が『創価学会の政治局 公明党の研究―今後どう変わっていくのか』と言う本を書かれていますね。これは未読ですが…政治学的要素が強いのではないかと…


全公開せよとは言わないけれども情報公開の度合いが低いのも、こうした状況に一役買っているという気もします。

*1:青木書店から1973年に刊行、1999年に南窓社から再刊。修正は誤字数箇所のみとのこと