あまりに酷すぎる裁判騒動

http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062501000527.html

訴状で原告側は「番組は当時の日本がいかに現地の住民を虐待、差別、利用したかを延々と述べている」と主張。放送後に現地調査をした結果、出演した住民のほぼ全員がNHKに訂正と抗議を求めたとし「悪質なやらせ取材などがあった」としている。

まず前半の当時の日本の行動を延々と述べることは全く問題あるまい。
実際その通りのことをしていたのだし。
にしてもあの番組がそれだけをただ流していたと見るのは節穴か印象操作だろう。
台湾が親日だと右派の方々は軽々に言うけれども、ことはそんなに単純でない。


 既に多くの人びとが指摘していることではあるが、台湾には本省人外省人高砂族漢民族、国民党の問題、そしてもっとも大きな問題として中華人民共和国との間の問題がある。こうした諸問題から、親日本的と右派がみなすような要素が台湾に見られたあるいは多かったという事実はあれど、それがかなりの点で政治的な産物である。
 つまり状況によって変化しうる、あるいは判断として戦時中の日本の行動をある程度のレベルで無視することを前提とするものであったことには留意が必要である。


 その上で、今回のNHKのアジアの一等国は、無視(あるいは軽視)されがちだった台湾植民地支配の問題点をかなりのレベルで描き出すことに成功している。日本の台湾植民地支配は、しばしば植民地経営の成功例として言及されることが多い。実際、日本からかなり多くの優秀な官僚達が台湾を訪れ農業技術の発展などに貢献したことは事実であろう*1。しかし、それは現在の植民地支配批判の地平から逃れることが出来るものではない。植民地支配批判のレベルは既にそういった地平にない。


 あと後半はもう既にネット上で、チャンネル錯乱関係の記者が抗議文の草稿を書いて、それに今回インタビューなどに応じた人の署名を集めたということが明らかになっている。
 馬鹿じゃないかと…政界でも安倍氏がアホな発言をしていた模様


 本当に、この裁判に参加している人たちは一体何を考えているのであろうか?
 最初はあいかわらずチャンネル錯乱まわりは変なことを言っているなあという半ばあきれた気持ちで見ていた。NHKに対してのデモなどはヘイトスピーチまるだしの余りにも唾棄すべきものだった。そういう点で彼らが自らの馬鹿さ加減を自覚なく周辺にアピールすることはそれほど政治的に悪いことではないと思っていた。だが、裁判参加者が8000人を超えるとなると馬鹿の多さに慄然とする。


 そして、ふと自分の考えの浅さに気づかされた…大手マスコミまであの田母神に飛びついたのだ、そして彼の本はあの論文叙述から推して知るべしの内容にもかかわらず本屋にかなり並んでいる…。

*1:後藤新平の政策の評価や、私の好きな柳田國男氏なども農政官僚として台湾に赴いていることなど。米の品種改良の話しもでる。