これは危機的状況だ

id:kamayan氏が小さな途中経過 - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記/はてダ版で述べている、天皇機関説を思い出したという話が正直、笑いごとでなくなってきた気がする。与党も野党も馬鹿、マスコミも馬鹿となると問題は大変ではないかと思います


難しいだろうがこの問題について、政治学会か何かで危惧を表明してもよいのではないかと思うくらい。しばらく前に、ホメオパシーの問題について日本学術会議が会長談話という形で危惧を表明しました。
日本医学会 - 「ホメオパシー」への対応について(日本医学会HP掲載の談話)


社会学会や政治学会も何か出したらというのは、ホメオパシーの件が念頭にあっての半ば冗談めいた考えでした。ホメオパシー問題は実際問題として死者も出かねない(既に死者も出ている)問題であるから、一定の緊急性を満たしているというのが、この談話がこの時期に出された理由であろうと考えていたからです。そうであれば、まあ「暴力装置」発言に関する国会での追及問題も、馬鹿が大量に釣れたとはいえこれまでも度々あった言葉ジリを捉えての与野党の国会運営戦略の一幕と流してしまうこともできたかもしれません。


しかし、先日のブログ
政治学・社会学上の用語を使ったら左翼か… - 小烏丸の日記
でリストが充実していくにつれ、そしてネットでは富崎隆氏
「暴力装置」についての政治学講座 - Togetter
の指摘をはじめとして、この「暴力装置」という用語の正しい認識の解説が存在する一方で、マスメディアではこの言葉が抱えている近代国家における大きな含意を無視したつまらない言葉ジリ批判しか展開されない状況にうすら寒さを感じてきました。


朝日新聞の仙谷氏の発言を報じる記事http://www.asahi.com/politics/update/1118/TKY201011180169.htmlの中に差し込まれた

 「暴力装置」の表現は、かつて自衛隊違憲と批判する立場から使用されてきた経緯がある。

この一行など、この語の本来持つ問題意識を軽んじた、あまりにくだらない誘導であるといえます。


早々に撤回した仙谷氏自身や、よく理解していないのか遺憾の意などを表明している現職閣僚、意味もわからず言葉ジリを捉えて批判している野党、「暴力」という単語だけ見てネガティブだからと批判するマスコミ*1は、政治学社会学を含めた学問とその成果を著しく軽視していると言えると思います。


しっかりと「馬鹿に馬鹿と言うこと」をマスコミが放棄したのならばきっちり学者にやってもらいたいと考えブログをやっておられて、現在日本政治学会の会長も務めておられる山口二郎YamaguchiJiro.comトラックバックを送りたいと思います。

うむむ、どうやってもトラックバックが送れません。先方のジュゲムのシステムなのか、こちらの問題なのか分かりませんが…

*1:ですが、ネガティブであることがこの「力」を考えるにあたって重要であるということは指摘したいと思います。暴力の持つ両義性と、その力が危険であるがゆえにいかに扱うかということが重要になるのですから。