東京国際アニメフェア2011と「表現の自由」

あいかわらず本筋からはずれます。
http://www.tokyoanime.jp/ja/


東京都青少年健全育成条例改定にともなう色々を受けて、大手出版社を中心に東京国際アニメフェアへの出展取りやめが表明された。
個人的に気になったのはその他の参加社はどのように振舞うのか?ということ


実行委員リスト(http://www.tokyoanime.jp/ja/info/list/)には
制作会社 25社
製作及びビデオ販売 7社
出版社・印刷会社・書店 9社
映画・テレビ・ラジオ 21社
報道・研究機関 1団体
ゲーム企業 2社
ソフト開発企業 1社
ブロードバンド関係 4社
金融機関 1社
海外事業 3社
広告代理店 5社
芸能プロダクション 1社
旅行会社 5社
航空会社 1社
事業者連盟 5団体
教育機関 2校
教育・文化事業 2社
各種団体 10団体
国 2団体
自治体 5自治

の計112社(団体)が名を連ねている。(ただし、株式会社小学館は「製作およびビデオ販売」と「出版社・印刷会社・書店」の2か所に掲載されている。)
表現の自由」をめぐる問題は民主主義下においてはすべての構成員に関わってくる問題ではあるが、今回上記団体のうちクリティカルに「表現の自由」に関わる業務を主たるものとする形で絞ると。「制作会社」「製作及びビデオ販売」「出版社・印刷会社・書店」「映画・テレビ・ラジオ」「報道・研究機関」「ゲーム企業」「芸能プロダクション」「事業者団体」の71社(団体)がこれにあたると言える。
実際のところは、実行委員外参加社(特に海外など)もあるだろうからこれに限ったものではないが…


上記、71社の実行委員のうちボイコットを明言したのは
まず第一に社長の井上伸一郎氏がtwitterでつぶやいた(井上伸一郎 on Twitter: "さてこの度、角川書店は来年の東京アニメフェアへの出展を取りやめることにいたしました。マンガ家やアニメ関係者に対しての、都の姿勢に納得がいかないところがありまして。")「株式会社角川書店
コミック10社会としてボイコットを宣言した
「株式会社小学館
「株式会社集英社
となっている。(株式会社角川書店コミック10社会メンバーであり、また10社会にはその他に「秋田書店」「講談社」「少年画報社」「新潮社」「白泉社」「双葉社」「リイド社」の7社がある)


個人的にはこのボイコットの成功と、代替イベントの開催とその成功がこの問題に対しての大きな発信になるのではないかと思う。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20101210-OYT1T01028.htm?from=main5
アニメフェアのメインキャラクターが、今回の都条例に反対の声明を出した日本漫画家協会やなせたかし先生のキャラクターであることもなんという皮肉であろうか。
「漫画から翼を奪う」と秋本治さん 都条例改正案に漫画家、出版社が反対会見 - ITmedia NEWS


東京国際アニメフェアをボイコットすることに意味はあるのか
こういう声もあるにはある
しかし実際的に力ある抵抗をなしうる主体が、政治を除いてはここ(業界)だけという現状を鑑みれば、業界(隣接業界も含む)が声をあげなければ、それは唯々諾々と従いますと宣言するようなものではないのか?今回の都条例そのものがクリティカルな規制ではないという意見もあるだろう、私も一部の過激反対論者の方々言っていたような危険例は今回の条例では直接導出するにはかなりの力技が必要であると思う。


ただ、ではいったん認められた規制強化の波は、ではどこまで受け入れたら止まるのか。
はっきり言えば、止まりはしない。なぜならば規制強化側は「表現が犯罪を誘発する」と唱えるが、それについて有意な証拠を出すことはついぞなかった。
青少年の健全育成に悪影響をもたらすと述べたが、それについても因果関係が示されることはなかった。


「世に盗人の種は尽きまじ」とはよく言った言葉で、どんなに理想的な社会・世界が到来したとしても、人が人である限り犯罪が存在しなくなることはあり得ない。(犯罪の全く起きなくなった社会を描くSFディストピア小説・映画が結構ありますね)
当然、それを縮減していく努力は必要であるが、規制賛成側が唱えているのは「「縮減する」ために「規制すべき」」なのではなく、「「犯罪がある」から「規制すべき」」であるという論理をとったのだ。そうである以上、どのような規制反対論もまず規制を推進する人の耳にははいるまい。彼らは世に犯罪がある限り、その原因を「表現の自由」に求め続けることができるのだ。


コミック10社会がボイコットだけでは、都も石原氏もびくともしないでしょう。
ただボイコットが成功した時のタイミングの影響は大きいと思います。
なにしろアニメフェアの開催日が2011年3月24日から27日
東京都知事選の投票日が2011年4月10日なのですから。


個人的にはボイコットの輪が広がること、そしてそれを支持する消費者の輪が広がること、アニメ業界への経済的ダメージが生じないよう代替のイベントが都外で開催されることを希望しています。